外壁塗装で使うラジカル塗料って?メリット・デメリットを解説
2022/12/22
外壁塗装の塗料として、ラジカル塗料が注目を集めています。しかし、「ラジカル塗料が他の塗料とどう違うのかいまいちよくわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、「ラジカル塗料」がどんな塗料なのかを解説します。また、メリット・デメリットについても紹介しています。
これを読めば、ラジカル塗料について深く知ることができるかと思います。ぜひ最後まで目を通してみてください。
Contents
外壁塗装で使う「ラジカル塗料」とは
「ラジカル塗料」とは、酸化チタンや紫外線吸収剤、光安定剤(HALS)が含まれている塗料のことです。
正式には「ラジカル制御形塗料」と言い、塗膜の劣化の原因となる「ラジカル」というエネルギーの効果を抑える機能がある塗料のことを指します。
ラジカルとは?
ラジカルとは、塗料に含まれる顔料に紫外線や酸素、水などが触れることによって発生するエネルギー(劣化因子)のことです。
ラジカルには塗料の分解を促進させる働きがあり、チョーキング現象と呼ばれる劣化現象を引き起こしやすくなります。そのため、外壁を長く美しく保つには、ラジカルの働きを抑える必要があるのです。
従来の塗料は、塗料の主な成分である樹脂の違いによってシリコン塗料、アクリル塗料、フッ素塗料などのように区別されていました。
しかしラジカル塗料は使用している樹脂の名前ではなく、劣化因子であるラジカルの働きを抑制する塗料、という意味で「ラジカル制御形塗料」と命名されています。そのためラジカル塗料の主成分も、従来の塗料と同じように樹脂となります。
つまり従来の塗料にラジカルを抑制する機能を付与したものがラジカル塗料とであるといえます。
「ラジカル制御形塗料」の特徴
ラジカル制御形塗料がラジカルの発生を抑えるシステムには大きく分けて二つあり、下記のような特徴があります。
ラジカルを発生しにくい酸化チタンの配合
酸化チタン(TiO2)とは、チタン鉱石から生成される無機化合物で、白色顔料として白や黄色など薄い色を出すために使用されています。
酸化チタンは安定性や着色性に優れており、優れた白色を作る顔料として塗料以外にも自動車やプラスチックなどの工業製品や化粧品、化学繊維など様々な製品で使用されています。
この酸化チタンに紫外線が当たるとラジカルが発生し、発生したラジカルは塗料に含まれる樹脂などの有機物を劣化させてしまいます。
ラジカル制御形塗料では、アルミナ、ジルコニアなどの物質でバリアのようにコーティングした酸化チタンを配合することでラジカルの発生を抑制しています。
光安定剤や紫外線吸収剤の配合
発生してしまったラジカルを封じ込めて無害化してしまうのが光安定剤です。
発生したラジカルをキャッチして熱に変換することで塗膜の劣化を防ぎます。
製品によっては紫外線吸収剤が配合されていることもあります。
塗膜は紫外線が当たることで劣化してしまいますが、この紫外線を吸収して無害な熱に変えてしまうのが紫外線吸収剤です。
塗膜を劣化する紫外線を放出することで塗膜の劣化を防ぎ、耐候性を向上しています。
塗料のパンフレットでは紫外線吸収剤は「UVA」、光安定剤は「HALS」と記載されていることもあります。
下記は、
こちらでも酸化チタンをバリアで覆った「高耐候酸化チタン」と、光安定剤が配合されています。
ラジカル塗料を使用するメリット
ラジカル塗料を使用するメリットは、以下の4つです。
・耐久性が高く、コストパフォーマンスに優れている
・防汚・防カビ・防藻効果が高い
・光沢が持続できる
・塗装しやすい
以下詳しく解説します。
耐久性が高く、コストパフォーマンスに優れている
ラジカル塗料は、耐久性が高いけれど価格は安く、コストパフォーマンスに優れています。
ラジカル塗料の耐用年数は8~16年で、費用は1㎡あたり2,500〜3,400円が相場です。
一般的に外壁塗装で使われるシリコン塗料を例に比較すると、シリコン塗料の耐用年数は7〜15年、費用は1㎡あたり1,800〜3,500円が相場ですので、あまり大きな差がないと言えるでしょう。
塗料の種類 | シリコン塗料 | ラジカル塗料 |
---|---|---|
耐用年数 | 7〜15年 | 8~16年 |
価格相場 | 1,800〜3,500円 | 2,500〜3,400円 |
しかし、ラジカル塗料はシリコン塗料よりも、チョーキング現象が起こりにくいなどの機能を多く持っています。機能や性能が高くなると、それに応じて費用も高くなるのが普通ですが、ラジカル塗料はほとんど価格が変わりません。
以上の特徴から、ラジカル塗料はコストパフォーマンスに優れていると言われています。
防汚・防カビ・防藻効果が高い
ラジカル塗料は、防汚・防カビ・防藻効果が高いことも特徴です。汚れが付着しにくいので、美観を長く保つことができます。
光沢が持続できる
ラジカル塗料を使うと、光沢も持続します。先述の通り、ラジカル塗料は汚れが付着しにくいため、光沢も長持ちするというわけです。
光沢が長持ちしていると、その光沢のツヤも汚れをはじく効果を発揮します。美観と光沢のどちらも持続できるので、一石二鳥です。
塗装しやすい
ラジカル塗料は伸びが良く飛散しにくいため、塗装がしやすいという特徴も持っています。
比較的簡単にローラーや刷毛で塗装できるので、手間がかかりません。また、どんな外壁材にも塗りやすいです。
ラジカル塗料を使用するデメリット
ラジカル塗料を使用するデメリットは、以下の3つです。
・耐用年数の実績が不明瞭
・塗料の種類が少ない
・濃い色では効果が発揮しづらい
それでは、詳しく説明します。
耐用年数の実績が不明瞭
ラジカル塗料は誕生したのが2012年と、他の塗料に比べて新しい塗料です。そのため、耐用年数を計るための実績がまだ多くありません。
ラジカル塗料の耐用年数は8〜16年と言われていますが、以上の通り最初の発売からまだ16年は経過していないため、16年持つかどうかはまだはっきりと判明していないのです。つまり、メーカーが発表している耐用年数より短い可能性も存在します。
塗料の種類が少ない
ラジカル塗料は、前述の通り新しい塗料です。そのため、販売されている種類もまだあまり多くありません。
ラジカル塗料は、大手メーカーでも、外壁と屋根とそれぞれ1種類程度しか販売していません。そのため、希望に合った色などが見つかりにくいことがデメリットです。
濃い色では効果が発揮しづらい
ラジカルを発生させる酸化チタンは、白色顔料ですので、酸化チタンが含まれない黒などの濃い色ではラジカルは発生しにくくなっています。
そのため、濃い色のラジカル塗料では、その効果を感じにくくなります。
また、そもそもラジカル塗料の色そのものに濃い色の取り扱いがないこともあります。
例えばラジカル塗料の先駆的存在であるパーフェクトトップの色見本では、淡色~中彩色が中心となっています。
主要メーカーのラジカル塗料制御形塗料
各塗料メーカーからラジカル制御塗料が発売されています。こちらでは塗料の各メーカーのラジカル塗料をご紹介します。
・日本ペイント:「パーフェクトトップ」「ファインパーフェクトトップ」
・関西ペイント:「アレスダイナミックTOP」
・エスケー化研:「エスケープレミアムシリコン」
・アステックペイント「スーパーラジカルシリコン GH」
・菊水化学工業:「キクスイロイヤルシリコン」
塗装屋小幡おすすめのラジカル塗料
日本ペイントのパーフェクトトップ
日本ペイントの「パーフェクトトップ」は、ラジカル塗料の先駆け的存在です。
塗装屋小幡でもおすすめの塗料です。
後述しますが、『パーフェクトトップ』は最も一般的なグレードであるシリコン塗料と比べても非常に強い耐候性、特に外壁塗装の劣化症状の一つである「チョーキング」の発生に強い耐性を持っています。
2012年の発売と比較的歴史の浅い塗料ではありますが、期待耐用年数は10年を超えており、コストパフォーマンスも高く、現在進行形でどんどんその実績が証明されている塗料になります。
【パーフェクトップを使用した施工実績】
まとめ
ラジカル塗料とは、酸化チタンと光安定剤(HALS)が含まれた、外壁の劣化現象に強い新しい塗料です。
ラジカル塗料を使うメリット・デメリットは、それぞれ以下のようになっています。
メリット
・耐久性が高く、コストパフォーマンスに優れている
・防汚・防カビ・防藻効果が高い
・光沢が持続できる
・塗装しやすい
デメリット
・耐用年数の実績が不明瞭
・塗料の種類が少ない
・濃い色では効果が発揮しづらい
歴史がまだ浅い分、実績についてはまだ不明な点もある塗料ですが、従来のものよりも機能が多く、シリコン塗料と価格帯も変わらないため便利でコストパフォーマンスの高い塗料といえます。
ラジカル塗料の先駆けともいえる日本ペイントの「パーフェクトトップ」は塗装屋小幡でもよく使用するおすすめの塗料です。
弊社では現在の外壁や屋根の状態や、ご予算に合わせた塗料のご提案を行っております。
塗装屋小幡では、お客様のご要望に合わせて様々な施工をご提案させていただきます。
外壁・屋根塗装をはじめベランダ・バルコニーの防水塗装や内装塗装、家具の塗装まで幅広く承っておりますのでお気軽にご相談くださいませ。
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